初めに

目的

このエントリーは,以下を目標として作成しました.

  • システムのセットアップができるようになる ーメインのプログラムに宗谷バスのものを使用することを前提として
  • 測位状態の確認方法を知る ーラズパイ側からの確認、リモートでPCから確認の2種類の方法

  • どのように本エントリーを利用すべきか

    ここに記載される内容は,林が実地での使用で知ったノウハウです.CLAS対応受信機であるmosaic-CLASの使用方法などを網羅的に記載したものではありません.

    mosaic-CLASはここに記載される以上に色々なことができます.より高度な使い方を把握するには,mosaic-CLASの製造元であるseptentrio社のwebサイトなどを参照してください.

    システムの概要

    ハードの全体図

    ハードの全体像,及び実際に組み立てたものを以下に示す.

    ハードの全体像

    組み立てたやつ

    ソフトの全体像

    ソフトの全体像を簡単に示す.

    ソフトの全体像,記述方法は我流…

    CLASとは

    CLAS(Centimeter Level Augmantation Service)は,L6信号 *1 による「みちびき」独自の国内向けサービス.地上で補強情報を計算し,「みちびき」を経由してL6信号で配信しています.CLAS対応の受信機でこの補強情報を測位計算に用いることで,センチメータ級の測位精度を実現できます.

    CLASの特徴は,基準点なしでの測位が可能な点です.センチメータ級の測位を実現する方法として,一般にRTK測位が用いられます.このRTK測位には基準点が必要となります.RTK測位では,基準点の設定が必要であるほか,基準点から10km以上離れると精度が低下します.CLASでは基準点なしでの測位が可能であり,基準点を用いることによる制約から解放されます.

    CLASのイメージ (出典:qzss.go.jp)
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    RTK測位のイメージ(出典:aitoya.com)

    システムのセットアップ

    前準備

    ノートPC側の準備

    CLAS対応受信機であるmosaic-CLASには,受信機動作の監視や設定,測位結果の記録・解析が可能なGUIツールが製造元より提供されています.RxToolsを用いて,手元のPC*2で測位状態を確認する,測位結果を記録するなどのことが可能です.便利なので,ダウンロードしておきましょう.

    ダウンロードはこちらの「資料」>「Download RxTools extensive support tool suite for receivers」>「RxTools v23.0.1 Installer」より可能です.ダウンロードには,メアドなどの入力が必要です.適当に入力してダウンロードしてください.ドライバーもGUIツールと一緒にダウンロードすることができます.

    システムの起動

    電源を入れた時のラズパイ側の挙動

    正常に起動すれば,自動でプログラムが動き出し,ターミナルのウィンドウが2つある状態になります.1つ目は宗谷バスのプログラムが回るウィンドウ(よく見たことがあるかと),2つ目はsocatによるプロキシサーバーが立っている状態のウィンドウです(アクセス履歴などが表示されます).

    ファイルが正常に記録されているかも確認してみてください.変なエラーで保存がうまくいっていないかもしれません./wips/tmp_files/など,csv・画像ファイルが記録されるフォルダを見てみましょう.直近のデータが記録されていればokです.

    WebUIの起動

    mosaic-CLASには,type-BでPCと繋げることで,webUIから測位の状態確認・設定ができます*3.ドライバがインストールされた状態で,USBで接続すると,USBネットワークアダプタとしてIPアドレスが割り当てられます.ブラウザから192.168.3.1にアクセスすることで,WebUIに行けます.「保護されていない通信」とかなりますが,気にせず.

    WebUIの画面
    RxControlの起動

    RxControlはRxTools中の一つのアプリ.この歯車のアイコンを目標に起動する.

    RxControlのアイコン

    そして,File>Change Connectionを選択.以下にならって,接続設定を進める.ラズパイのIPアドレスの確認方法も示す.ちなみに,同じネットワークにいる必要がある.先モビExperiaのテザリングを使っているなら,ラズパイと同様,RxToolsを起動するPCもExperiaに接続すること.

    RxControl:接続設定
    ラズパイIPアドレスの確認方法

    RxControlによる記録

    ここではRxControlにより,RxControl起動しているPCに測位結果・状態を記録する方法を図で示していく.

    RxControl:Logging
    RxControl:ファイル保存先などの設定
    RxControl:Logging>ファイル命名規則・サイズ分割閾値の設定
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    RxControl:Logging > NMEA/SBF

    以上,設定が十分にできたら,「Start Logging」で測位をスタートしよう.

    測位状態の確認方法

    WebUI

    次に,webUIの見方を簡単に図で説明します.*4 参考資料は,RxtoolsのUser Manual,PolaRx5のユーザーマニュアル

    まず,上段.WebUIは基本的に上段をみていればOKです.

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    WebUI上段

    次に,Overview.ここは,動作ステータスの概要が確認できる.

    WebUI:Overview

    次にGNSS.いくつか項目があるが,「Position」と「Satellites and Signals」を説明する.

    Position.主には使用する測位方式が設定できる.実際の測位に使われる方式はここで選択されたうち,最も高度なものが選択される*5.基本的には,全て選択しておけば良い.

    WebUI:GNSS>Position

    Sattelites and Signals.ここでは,衛星の天球上の位置や信号強度が確認できる.ここも結構,重要.もし測位の調子が悪ければ,「衛星の位置が悪い」・「信号強度が弱い条件にある」などの可能性がある.その辺をここで確認できる.

    WebUI:GNSS>Sattelites and Signals

    NMEA/SBF Outについて説明する.
    ここでは,「どのデータ」を「どこ」に「どの間隔」でアウトプットするかを設定できる.基本的に,ここもいじる必要はない.が,自分でプログラム作ってNMEAメッセージを記録するならいじってみよう.
    NMEAメッセージにはRMCやLLQなど,含まれる情報によって色々な種類がある.このサイトなんかに,どの種類にどんなデータが含まれるかが記載されている.
    宗谷バスのプログラムでは,GGAとRMCが(確か)使われている.

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    WebUI:NMEA/SBF Out

    Admin>Expert Control>Control Panelについて説明する.
    ここで,より詳細に設定をいじることができる.林もどこまで何がいじれるか把握してません.例えば補足する信号の選択,仰角マスクの設定*6ができます.これもまた,使いやすいUIです.変にいじって設定を変えるということも,まあ起きづらいと思うので,ポチポチ触ってみては.

    WebUI:Admin>Expert Control>Control Panel
    WebUI:>Control Panel>Navigation>Advanced User Settings>Tracking>Signal Tracking

    RxTools

    ここでは,Septentrio社のHPから入手できるRxToolsのUser Manual及び
    陸-RxToolsの設定(septentrio mosaic-x5)トラ技3周波RTKスタータ・キット[高速高精度タイプ]を使ってみる( 格安3周波受信機) - 桜町測量ウェブサイト
    を参考にしている.画像の出典も基本ここ.

    RxToolsがmosaic-CLASとの接続に成功すると,以下のような画面になる.追加で説明も示す.

    RxControl:パネル

    RxToolsの機能について説明していく.

    まず,View.ここからは様々なデータを可視化できる.信号強度やらなんやら.主に使うのは「Carrier To Noise Plot」,「Sky Plot」,「Statistic Plot」.それぞれ,「信号強度」,「衛星の天球上の配置」,「接続からの各測位状態の割合」.特に「Statistic Plot」は,RTK率・Fix率などが気になる指標であることから,よく確認する.

    RxTools:View

    あとは,色々飛ばす*7

    参考資料・付録

    今回裏で動いている宗谷バス改造版のプログラム
    Public上に置いておくのはバツだが,道東遠征の間だけ参照できるようにしておく
    https://github.com/ryosukehys/CLAS_DOTOgithub.com